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世界初の実用PCM録音機 DENON DN-023R

本機は、DENON日本コロムビア株式会社の録音技術部と三鷹事業所が開発した、世界初の実用PCM録音機DN-023Rです。

アナログ信号は、標本化周波数47.25kHz 量子化bit数13bitでディジタル符号化され2インチVTRテープ上に記録されます。

 

録音チャンネル数はMAXで8チャンネルですが、8トラックテープに4chや2chを記録することで信頼性を増すことも可能でした。

 

シバデン製の2インチ・ヘリカルスキャンVTRを日本コロムビアが改造し、8チャンネルの録音・再生・手切り編集が可能となっています。

 

筆者は、1977年ころ、東京赤坂の日本コロムビアの2階マスタリング室の廊下で、手切り編集作業を見たこともあります。

 

A/D変換回路はΣΔ型ではなくノーオーバーサンプリングの逐次比較型でMDA-2型12bitDACと比較器で構成されています。

ちなみにDACと比較器(コンパレーター)があれば、アナログ信号をサンプルして、その値をディジタル符号化するADCができます。

DNー023Rでは12bitに加え1bit分のディスクリートD/A変換回路を付加することで13bit化したA/D変換器を実現しました。

アナログデバイセズ社製12bitA/D変換デバイスは、レーダー等に用いる軍事用で当時の価格で数百万円した高価なものだった、

と紹介されていますが、実際には12bitDACに外付け1bitDACと比較器とサンプルホールドで構成したA/D回路だったのです。

写真で注目すべきはアナログ入力回路に採用されている米国VISHAY社製金属箔抵抗器S102が採用されていることでしょう。

部品購入価格は高価でも、めざすべき性能・音質を確保するために必要ならば投入すべきである、という考え方は今でも同じです。

 

 

(※1)DENONは日本コロムビア株式会社のブランドでした。現在、日本コロムビアはハード部門のデノンと、ソフト部門の日本コロムビアに分社後、D&Mホールディングス社が事業を継承しています。